脚長差により殿部痛を呈した症例(ケーススタディ)
- 村田育子(Ikuko Murata)

- 8月21日
- 読了時間: 4分
更新日:9月4日
「痛みなどの身体のトラブルの解決・予防」
をコンセプトに
パーソナルトレーナーとして活動しています、
理学療法士の村田育子です。
「姿勢改善」「ボディメイク」を得意としています^^
本日は
「脚長差により臀部痛を呈した症例」
というテーマでお話してみたいと思います。

【目次】
1. 症例紹介
2. 脚長差の原因
3. アプローチ
4. 成長期での荷重の偏りは脚以外にも影響が…
5. まとめ
1. 症例紹介
40代、女性、U様。
お仕事:デスクワーク。
お悩み:①左お尻~太もも裏の痛み。
②肩こり。
姿勢では
「骨盤の崩れ」が目立っていて
「左下がり(左下制)」
「左前方(左前方回旋)」へ
崩れていました。

このポジションでは
左のお尻は短く・硬くなります。
(左股関節伸展・外転位で上部の殿筋群が短縮位になる。)
お尻の筋肉(梨状筋)の奥には坐骨神経が通っているので
そこで短く・硬くなった筋肉が神経を圧迫し
左お尻~もも裏に坐骨神経痛様の症状が
出現していると考えました。
と、なると症状改善には
この「骨盤の崩れ」の改善が必要ですよね。
と、なると
U様の骨盤は
なぜこのように崩れているのか?
を解明する必要があります。
そこでU様の全身をチェックしてみると
骨盤の崩れの原因は「脚長差」である
ということが判明しました。
左脚が短いため
骨盤が左下がりになっていた
という訳です。

2. 脚長差の原因
では なぜU様の左脚は
短くなってしまったのでしょうか?
骨実質の長さに差があったため
「成長期に左脚に体重をかける習慣はなかったか?」
聞いてみました。
答えは即YESでした。
高校・大学の7年間
往復4時間(!!)の電車通学、いつも満員。
電車酔いするため
左手で吊革に掴まり
うなだれるように左重心で立っていたそう。
それがこちら↓(モデルは私です)

このような左優位に体重をかける立ち方を
成長期に習慣としてしまったことで
左脚の方が短くなったと考えられました。
U様のように
成長期に片方の脚に優位に体重を乗せると
体重を乗せた側が短くなることがあります。
(ヒューターフォルクマン則:詳しくは こちらの記事 参照)
U様は高校でも身長が伸びていたとのことで
まさに成長期に左優位に体重を乗せてしまった事例です。
またこの時に
骨盤は左前に突き出しており(左前方回旋)
姿勢の崩れともピタリと一致しました↓。

3. アプローチ
骨盤の左前への崩れについては
逆のポジションで体重を乗せるなど
色々とエクササイズを行いました。
そして脚長差については
長さ自体を治すことはできないので
インソール(ヒールパッド)で補正しました。

短い方の左に入れて高さを調整する作戦です。
これで骨盤の左下がり(左下制)の修正を図りました。
4. 成長期での荷重の偏りは脚以外にも影響が…
ちなみにU様、
成長期に左脚にばかり体重をのせてきたことで
脚長だけでなく
「骨盤の形状」にも影響が出ていました。
(画像はご本人の許可を得て使用しています。転載は禁止です。)

左優位に荷重したことで
下から突き上げられる力(圧迫)で
左の恥骨が平坦化したと考えられます↑。
またそれに伴い
左の骨盤がひずむように広がっています↓

またこれは余談ですが(せっかくレントゲンがあるので)
股関節では長い方の右に少し負担がかかっているな
ということも分かります↓

右の股関節を守るためにも
インソールは重要だ、と読み取れます。
このように成長期における偏った身体の使い方は
脚長を含めた「骨の形」にまで
影響が及ぶことがあります。
もし、高校生の頃のU様に出会えていたら
「左にもたれないで!!」と
厳しくアドバイスすると思います。
…しかしそれはできないため
今現在、成長期の子と関りがある親御さんや部活の先生に
このようなことを知ってもらい
将来のトラブルを持つ人が
一人でも減ることを切に願います。
5. まとめ
・骨盤の崩れにより坐骨神経痛様の症状があるU様
・脚長差が骨盤の崩れの原因だった
・脚長差の原因は電車通学で左重心で立つ癖だった
・左重心の癖は骨盤の形態にも影響を及ぼしていた
・脚長差に対してはインソールで対応した
・成長期における荷重の偏りは脚長を含め骨形態への影響があると心得、注意していきたい課題である
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました。
次回は同一症例で上半身にフォーカスしてお話してみたいと思います!
この記事が皆様の健康の一助となりますように(^^)
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