脚長差と習慣により背部痛と胸郭変形を呈した症例(ケーススタディ)
- 村田育子(Ikuko Murata)

- 9月4日
- 読了時間: 4分
「痛みなどの身体のトラブルの解決・予防」
をコンセプトに
パーソナルトレーナーとして活動しています、
理学療法士の村田育子です。
「姿勢改善」「ボディメイク」を得意としています^^
本日は
「脚長差と習慣により背部痛と胸郭変形を呈した症例」
というテーマでお話してみたいと思います。

【目次】
1. 症例紹介
2. 胸郭変形の原因① 脚長差
3. 胸郭変形の原因② 習慣
4. アプローチ
5. 成長期における習慣が身体に及ぼす影響
6. まとめ
1. 症例紹介
※本日の症例は 前回記事 と同じ方です。
40代、女性、U様。
お仕事:デスクワーク。
肩甲骨の辺りを中心に鈍く痛みがあり
ひどい時は腕までビリビリ放散、
吐き気を伴う時まである、と。
上半身には このような姿勢の崩れがありました↓

胸郭は「左にシフト」し
背骨は腰から胸にかけて「右曲がり」
に歪んでいました。
また胸郭(アバラ骨の部分)は
・左前側が薄く
・左後ろが厚め
という胸郭の形状自体に変形がありました。

このように胸郭は3Dに歪んでおり
一見、「側弯症なのかな?」
という印象があるくらいでした。
背部痛の原因は
Th4症候群の可能性が高そうであり
症状改善のためには
「胸郭の歪み改善」
が必要と考えられました。
2. 胸郭変形の原因①:脚長差
ではなぜ U様の胸郭は
このように歪んでしまったのでしょうか?
一つ目の原因は脚長差でした。
(前回記事 参照)
左脚の方が短かかったため
骨盤が左下がり(左下制)となり、
その結果
背骨は大きく右曲がり(右側屈)となっていました。

3. 胸郭変形の原因②:習慣
原因2つ目として
脚長差よりも大きく影響していると思われたのが
「成長期での立ち方の習慣」でした。
前回記事 でもお話した
電車通学(往復4時間!!×7年間)での立ち方の癖が
胸郭の歪みをそのまま表していました↓

左の骨盤の上に
胸郭を“乗っける”ようにして姿勢を保ち
なんとこの状態で電車に揺られながら寝ていた(!!)
とのこと。
真似してみると分かりますが
薄くなっている左前側の胸郭には
息が入りにくいです。
筋肉には頼らず
靭帯や骨などの受動支持組織に依存した立ち方で
強く歪んでしまいそうなのは
容易にイメージがつくかと思います。
約20年前の習慣ですが
成長期の習慣なこともあり
しっかり残っている
= 胸郭の形状自体の変形として残っている
という状態でした。
4. アプローチ
脚長差に対してはインソールで対応しました。
U様の場合、6mmでした。

胸郭の歪みについては
歪みと逆の動きを地道に練習しました。
ポイントは呼吸を利用することで
胸郭の薄い部分を膨らましながら
各種エクササイズを行いました。
5. 成長期における習慣が身体に及ぼす影響
U様の胸郭の変形は
先天的な側弯ではないにも関わらず
ぱっと見で「側弯?」
と思ってしまうくらいの状態で
「成長期の “習慣” でこれだけ胸郭が変形するんだ」
と驚いた症例でもありました。
(U様の親族に側弯症の人はおらず、胸椎左凸で典型的な側弯症とは逆パターン、またエクササイズで胸郭が修正されてきた手応えから先天的な側弯でなく脚長差と習慣で生じた機能的側弯で間違いないと考えられます。)
成長期における偏った姿勢の取り方は
胸郭の形状変形に及んでしまうくらい影響がある
ということを
成長期の子の親御さんや先生方に是非知って頂き
将来トラブルを持つ子が一人でも減ることを願います。
5. まとめ
・U様の胸郭は一見 側弯症のように歪んでいた
・背部痛はTh4症候群と考えられた
・症状改善には胸郭の歪み改善が必要と考えられた
・胸郭の歪みの原因①「脚長差」
・胸郭の歪みの原因②「成長期における電車内での立ち方の癖」
・成長期における習慣は胸郭変形まで及ぶこともあると心得、注意していきたい課題である
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が皆様の健康の一助となりますように(^^)
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