脚長差の原因 ~成長期の習慣による脚長差:ヒューター・フォルクマンの法則~
- 村田育子(Ikuko Murata)
- 2021年7月26日
- 読了時間: 5分
更新日:7月11日
「痛みなどの身体のトラブルの解決・予防」
をコンセプトに
パーソナルトレーナーとして活動しています
理学療法士の村田育子です。
「姿勢改善」「ボディメイク」を得意としています^^
本日は
「脚長差の原因:成長期の習慣による脚長差」
というテーマで
「ヒューター・フォルクマンの法則」
についてお話してみたいと思います。

今日の記事は気合いが入っています!!
(他の記事が気合い入ってない訳ではないです💦)
今回の記事は
・成長期のお子様を持つ親御さん
・小中学校の部活の先生
・とりあえず全員!!
に読んで頂きたい頂きたい内容です!!
同じ内容を You tube でもアップしています。
【目次】
1. 成長期での荷重の偏りは脚長差の原因となるか?
2. ヒューター・フォルクマンの法則
3. ヒューター・フォルクマンの法則をもっと詳しく
4. 症例紹介
5. まとめ
1. 成長期での荷重の偏りは脚長差の原因となるか?
「成長期において
左右の脚への体重の乗せ方に偏りがあると
脚長差が生じる」
…そんなこと、あると思いますか?
そんなことで脚の「長さ」が変わってしまうの!?
と思う方が多いと思います。
しかし、成長期において
・左右どちらかに偏った立ち方
・左右どちらかの足を踏み込むスポーツ
など
体重のかけ方に左右差があると
脚長差の原因となる可能性があります。
実際のところ、
これが臨床でよく遭遇する脚長差です。
2. ヒューター・フォルクマンの法則
骨の成長には
「ヒューター・フォルクマンの法則」
というのがあります。
ヒューターさんとフォルクマンさんが提唱したもので
骨端成長軟骨板への
☆圧縮ストレスの過剰
→骨の成長を減少させる
☆圧縮ストレスの低下(または伸張ストレス)
→骨の成長を増加させる
という法則です。
(骨端成長軟骨板については 前回記事 参照)
例えば
左脚にばかり体重をかけて立つ癖↓により

左脚の軟骨板への圧縮ストレスが過剰
↓
左脚の成長が減少
↓
左脚の方が短くなる
これがヒューター・フォルクマンの法則です。
3. ヒューター・フォルクマンの法則をもっと詳しく
軟骨板への圧縮ストレスが過剰になると
なぜ骨の成長は減少してしまうのでしょうか?
細胞レベルでは何が起きているのか
少し詳しく見ていきます。
成長期の骨には「骨端成長軟骨板」があり
骨はこの部分で縦に成長していきます。
通常、骨端成長軟骨板の細胞は
綺麗に整列して並んでいます↓
(前回記事参照)

ここに過剰な圧縮ストレスがかかり続けると
細胞の配列が無秩序になり、
細胞を取り巻く部分(細胞外マトリックス)が減少、
そこに存在するコラーゲンなどのタンパク質に化学的な変性が生じた
タンパク質の組成が脆弱になった
という研究があります。
つまり
圧縮ストレスの過剰
↓
整列していた細胞の配列が乱れる
↓
細胞外の基質が減る
↓
タンパク組成が脆弱になる
↓
細胞分裂や細胞肥大が減少
↓
骨の成長が減少
これがヒューター・フォルクマンの法則の
細胞レベルでの話です。
4. 症例紹介
実際の症例をいくつか紹介します。
1)右脚重心で立つ癖 → 右脚が短い

2)同じく右重心で立つ癖 → 右脚が短い

3)頭を左に傾ける癖 → 左重心 → 左脚が短い

4)長時間の電車通学を左手で吊革に掴まってきた → 左重心 → 左脚が短い

他にも
・テニスで右ばかり踏み込んで右脚が短い
・剣道で右で踏み込んで右脚が短い
・クリケットで右で踏ん張り右脚が短い
…などなど。
特にスポーツは何かしら左右差があるので
脚長差に影響しやすいです。
実際の臨床で様々な脚長差に遭遇してきましたが
この「ヒューター・フォルクマンの法則」で
脚長差が生じたと思われるケースが
最も多いと感じています。
脚長差自体は1㎝以下
むしろ5㎜以下の
何となくやり過ごせる程度のものがほとんどです。
それゆえ気付くのも難しく
知らないうちにトラブルの原因と
なってしまうことが多いです。
この脚長差は大人になってから治すことはできません。
予防できるのは成長期の子供のときだけです。
なので
お子さんが左右どちらかに偏って立つ癖があったら
注意してあげて欲しい!
部活の先生は
左右差のコンディショニングのエクササイズなど
何かしら対策を考えてみて欲しいっ!
とにかく
成長期の荷重の左右差は脚長差を生むリスクがある
ということをみんなに知ってほしい!
トラブルを抱えてからの対処に携わる理学療法士として
将来トラブルで悩む人が
一人でも減ることを切に願います。
5.まとめ
・骨の成長にはヒューター・フォルクマンの法則がある
・軟骨板への過剰な圧ストレスは成長を減少させる
・これが片側で生じると脚長差の原因となる
・成長期の立ち方やスポーツの左右差は脚長差の原因となる
・子供の頃に予防するという観点が重要と考える
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が皆さまの健康の一助となりますように(^^)/
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