【筋肉/関節のトラブルに対する解決・予防の考え方をブログとYouTubeで発信しています】
こんにちは。パーソナルトレーナー・理学療法士の村田育子です。
現在「脚長差(左右の足の長さが違う)」について解説中(シリーズ目次)。

本日は「ペルテス病は脚長差の原因となりうるのか?」というテーマで解説していきたいと思います。
・ペルテス病の既往がある方
・お子様がペルテス病だという親御さん
・今ペルテス病ですという方
に是非読んで頂きたい頂きたい内容です。
【目次】
1.ペルテス病によって脚長差は生じるのか?
答えはイエス。
脚長差は生じる可能性は高いと言えます。
2.ペルテス病で脚長差が生じるメカニズム
まずはペルテス病について簡単に説明します。
ペルテス病とは「成長期に大腿骨頭(太ももの骨の付け根のボール)が一時的に壊死してしまう病気」です。

「壊死」とは「組織が死んでしまう」こと。
大腿骨頭への血管が何らかの理由で閉鎖してしまうことが原因と言われています。
3~4年で血管が再開通して骨頭はまた新しく造られますが、
骨頭が壊死している期間に体重を乗せると
骨頭が潰れてしまいます。
壊死している骨頭はスカスカで脆弱な状態だからです。
なのでペルテス病の代表的な治療は「体重を乗せないようにするための装具」となります。
ここまで説明すれば、脚の長さに左右差が生じる理由は明らかですよね。
骨頭が潰れてしまうと、潰れた分だけ脚は短くなります。
つまりペルテス病の方の脚が短くなる可能性が大きい
ということです。
~余談~
以前、大腿骨頸部骨折ハンソンピン術後の大腿骨頭壊死で人工骨頭置換の再手術の見学をさせてもらったことがあります。
その時、壊死した大腿骨頭を実際に見てきました。
「壊死」という名前から、さぞ骨頭はボコボコになってるのかと予想してましたが意外と見た目は整っていました。(ケースによると思いますが。)
先生に「壊死・・・してるんですか?大丈夫そうですが?」と聞いたら「触ってみろ」と取り出された骨頭を渡され、触って納得。確かに「スカスカ」。押すとちょっと潰れました。この状態で体重を乗せたらそりゃ潰れるわ、という感触でした。
3.ペルテス病で実際に脚長差を呈した症例
私の臨床経験からお一人、紹介したいと思います。
腰痛で受診された20代前半の男性。
ぎっくり腰。
20代前半でぎっくり腰というのはちょっと早いですよね。
既往歴を伺うと子供の頃はペルテス病で大変だった、と。
手術の話も出たけど何ヶ所かセカンドオピニオンして、
県外の遠い病院に通い、
(お父さんが熱心に向き合ってくれたとのこと)
最終的に装具で治療していくことに決めて、
もちろんスポーツは辞めて。。。
多感な時期に辛いですね。
でも今は股関節に大きなトラブルはなく大丈夫、と。
何よりです。
既往の話を聞き終わったところで身体をチェックしていきます。
案の定かなりの骨盤の傾き・・・。
案の定かなりの脚長差・・・。
腰痛の原因は明らかに脚長差でした。
彼には秒でヒールの使用をお勧めしました。
ただ、結構大きな差だったので(2㎝はあったような)
中敷きインソールだけでは足りなくて、
(ヒールをたくさん入れると靴がパカパカ脱げちゃうので)
外側の靴底も調整しても何とか帳尻を合わせた記憶があります。
(駅にある靴底修理のお店に行ってもらいました)
数回のみの関わりでしたが、今もトラブルなく過ごされてることを願います。
このようにペルテス病において装具療法が終了した時点で確定されてしまった脚長差については、
理解し受け入れ「対処」することで後々のトラブルを回避する
という視点が重要になってきます。
ちなみにこの患者さんの脚長差をチェックした時に私が感じたこと。
「これだけの脚長差・・・なぜ放置?そりゃ腰も痛くなるよ。」です。
ペルテス病で脚長差が出るメカニズムは単純明快な訳なので
「装具卒業の時点でヒールで脚の長さ調整してその後の人生を過ごす」
そういった指導が当然に行われて然るべきという医療体制があれば
後々の身体のトラブル、特に変形性股関節症への移行というのは大きく予防できるのではと思えてなりません。
子供時代の病気ゆえ、親御さん達にできだけリーチできればと思う記事です。
脚長差によるトラブルを回避できる子が一人でも増えることを切に願います。
4.まとめ
・脚長差の原因の一つにペルテス病が挙げられる
・ペルテス病とは大腿骨頭の成長不全であり、患側が短くなりやすい
・生じてしまった脚長差にはきちんと対処しておかないと後々トラブルになる可能性が高い
同じ内容をYouTubeでは動く私が解説しています。
動画の方が理解しやすい方はこちらをどうぞ! → YouTube
お読み頂きありがとうございました。
この記事が誰かの身体のトラブルの解決の糸口となりますように。
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