脚長差の原因 ~脳性麻痺による荷重の偏り~
- 村田育子(Ikuko Murata)
- 2021年7月13日
- 読了時間: 4分
更新日:7月3日
「痛みなどの身体のトラブルの解決・予防」
をコンセプトに
パーソナルトレーナーとして活動しています
理学療法士の村田育子です。
「姿勢改善」「ボディメイク」を得意としています^^
本日は
「小児の頃からの麻痺によって生じる脚長差」
について解説してみたいと思います。

私自身は小児分野の経験はないので薄っぺらい内容になるかもなのですが
骨の成長のメカニズムについて触れていくので
その点も含めて読んで頂ければと思います。
同じ内容を You tube でもアップしています。
【目次】
1. 脳性麻痺によって脚長差は生じるのか?
2. 子供の骨成長に必要なもの
3. 脳性麻痺によって脚長差が生じるメカニズム
4. 脳性麻痺で脚長差を呈した症例
5. まとめ
1. 脳性麻痺によって脚長差は生じるのか?
脳性麻痺とは
妊娠中や生後間もない時に脳に損傷が生じることで
運動機能や姿勢の維持に影響が出る状態を言います。
「脳性麻痺がある=脚長差が存在する」
という訳ではないのですが
「脳性麻痺がある→成長の過程で脚長差を生じる」
という可能性が出てきます。(もちろん全例ではありません)
これは骨の成長の仕組みを知ることで
その理由が見えてきます。
2. 子供の骨成長に必要なもの
骨の成長に必要なものは
①正常な構造
②正常な血流
③身体活動による間欠性の力学的ストレス
この3つと言われています。
①②はどうこうできる話ではないので置いておいて
今日は③について見ていきます。
「間欠的力学的ストレス」とは
骨が圧迫されたり・されなかったり
骨が伸ばされたり・伸ばされなかったり
というストレスであり
「身体を適度に動かすと自然にかかるストレス」
そのものです。

特に力学的ストレスの中でも
縦方向の「圧縮ストレス(押し潰される力)」
に対して骨は縦方向に成長します(長くなります)。
「押し潰されても負けない!」と
圧縮ストレスに対抗して骨を伸ばしていく
そんなイメージです。
3. 脳性麻痺によって脚長差が生じるメカニズム
骨の「長さ」の成長には
「間欠的な力学的ストレス」が必要
特に「圧縮ストレス」が必要
ということが分かったところで
脳性麻痺によって脚長差が生まれるメカニズム
について考えてみます。
骨を作っていく子供時代、
麻痺によって十分に立てない・歩けないという状態は
骨にかかる圧縮ストレスが少なくなる
ことを意味します。

そして大抵、脳性麻痺では
麻痺の程度に少なからず左右差があるため
立ち方や歩き方の左右差から
荷重のかかり具合にも左右差が生じ
脚の骨成長に左右差が生じる可能性があります。
これが脳性麻痺によって脚長差が生じる可能性がある理由です。
4. 脳性麻痺で脚長差を呈した症例
私自身、小児病院での勤務経験はないのですが
脳性麻痺の大人の患者さんを担当したことがあります。
40代、女性。
脳性麻痺があり
平行棒で掴まって歩けるレベルでしたが
家の中は這って移動、
基本的に歩かない生活スタイルの方でした。
子供の頃からその生活スタイルだったとのことで
成長期に脚の骨への荷重ストレス
つまり圧縮ストレスはほとんどかけてこなかった
と推測されます。
実際、脚の骨はとても小さく
特に踵の骨はとてもとても華奢で
びっくりしたことを覚えています。
「体重乗せてこなかったよ」と骨が物語っていました。
麻痺の程度には左右差があり
麻痺が強い方、
つまり体重を乗せる機会が少なかった方の脚が
極端に短かったのを覚えています。
立位では短い方の足底が浮いてしまうくらい大きな脚長差でした。
しかし基本的に歩かない生活スタイルなので
脚長差は特に問題にならないケースでした。
適度な荷重が骨成長を促す
ということを学ばせてもらった症例でした。
5. まとめ
・成長期において骨成長には力学的ストレスが必要
・特に圧ストレス(荷重)が縦方向への成長を促す
・麻痺に左右差があると荷重も左右差が生じやすい
・荷重の左右差は脚長差の原因となる能性がある
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が皆さまの健康の一助となりますように(^^)/
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