脚長差の原因 ~大腿骨頸部骨折に対する骨接合術~
- 村田育子(Ikuko Murata)
- 2021年9月26日
- 読了時間: 4分
更新日:7月23日
「痛みなどの身体のトラブルの解決・予防」
をコンセプトに
パーソナルトレーナーとして活動しています
理学療法士の村田育子です。
「姿勢改善」「ボディメイク」を得意としています^^
本日は
「大腿骨頸部骨折に対する骨接合術で脚長差は生じるのか?」
というテーマでお話してみたいと思います。

【目次】
1. 大腿骨頸部骨折に対する骨接合術とは
2. 骨接合術で脚長差が生じる理由
3. 頚部短縮で脚長差を呈した症例
4. まとめ
1. 大腿骨頸部骨折に対する骨接合術とは
大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)とは
太ももの骨の付け根の部分を言います↓

この部分の骨折が
大腿骨頚部骨折です↓

治療は手術が選択されることが多く
骨折の程度が軽度である場合
「骨接合術」が選択されることがあります。
「骨接合術」とはその名の通り
折れてしまった「骨と骨」を「接合」する手術で
このようにネジで固定する手術です↓

2. 骨接合術で脚長差が生じる理由
骨接合術で脚長差を生じる一つ目の理由は
元の形と「全く同じ」に戻すのは難しい
ということがまず挙げられます。
(こちらの記事 参照)
それに加え大腿骨頸部骨折の骨接合術では
もう一つ注意すべき点があります。
それは
術後に「頚部短縮」の可能性がある
ということです。
頚部短縮とはその名の通り
「大腿骨頚部が短くなること」です。
術後、骨折部に
体重がかかることで骨折部が陥入し
頚部短縮が生じます↓

↑左側が術直後、右側が術後6か月です。
右側のレントゲンでは、頚部が短縮し
その分スクリューが外側に飛び出ています。
このように頚部短縮すると
脚全体の長さも若干ですが短くなります。
頚部短縮は術後の荷重で生じるため
術後すぐは脚長差がなかったとしても
体重を乗せるにしたがって
少しだけ脚が短くなる可能性があるという訳です。
3. 頚部短縮で脚長差を呈した症例
骨接合術後ではないのですが💦
頚部短縮の症例を経験したので紹介します。
80代、女性。
・左脚に体重を乗せると左仙腸関節に痛み
・歩き始めや起床時は痛む
・仙腸関節を徒手的に安定させると痛みが軽減
と、仙腸関節痛の不安定性を疑う症例でした。
(脚長差による仙腸関節痛は こちら の記事参照)
この方は「2cmほど右脚が短い」という
大きめの脚長差がありました。
そして脚長差の原因は
右側の大腿骨の頚部短縮でした↓

アップにして輪郭をなぞってみると
骨頭が内側に入り込みながら(内反)
頚部が短くなっているのが分かります↓

この方は10年程前に転倒して右股関節に激痛、
しばらくまともに歩けなかったが
病院に行かずに耐えて治した
というエピソードがありました。
恐らくその際に大腿骨頚部骨折をして
くっついた非常にレアなケースと考えられました。
その際、頚部がこのように「短縮してくっついた」
と考えられます。
インソール(ヒールパッド)を使用することで
即時的に仙腸関節の痛みが解消した症例でした。
「術後」の頚部短縮ではないのですが💦
頚部短縮の興味深い症例だったので紹介してみました。
4. まとめ
・大腿骨頸部骨折に対する骨接合術では脚長差を生じる可能性がある
・理由1:手術で完全に復元するのは困難
・理由2:術後の荷重による頚部短縮
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が皆様の健康の一助となりますように(^^)/
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