【筋肉/関節のトラブルに対する解決・予防の考え方をブログとYouTubeで発信しています】
こんにちは。理学療法士/パーソナルトレーナーの村田育子です。

現在「脚長差(脚の長さの左右差)」についてシリーズで解説中(シリーズ目次)。
前回の記事では「脚長差の原因」について「機能的」と「器質的」、2つに分けてに大枠を解説しました。
今回の記事から、後者の「器質的脚長差」についてその原因を一つずつ深堀りして解説していきたいと思います。
そんな1回目の本日は「小児の頃からの麻痺によって生じる可能性のある脚長差」から解説していきたいと思います。
小児病院での勤務したことがない私には経験が薄い分野ではありますが、
骨の成長のメカニズムについて触れていくのでその点も含めて読んで頂ければと思います。
【目次】
1.脳性麻痺によって脚長差は生じるのか?
まず脳性麻痺とは
母体にいる時に脳に損傷ができて生じる麻痺
つまり生まれつきの麻痺です。
脳性麻痺によって脚長差は生じるのでしょうか?
答えはイエス。
もちろん全例ではないですが、脚長差を生じる可能性は十分にあります。
これは骨の成長の仕組みを知ることでその理由が見えてきます。
2.子供の頃、骨の成長に必要なものとは?
骨の成長に必要なものは
①正常な構造
②正常な血流
③身体活動による間欠性の力学的ストレス
この3つと言われています。
この①と②はどうこうできないので置いておいて
③について見ていきます。
この「間欠的力学的ストレス」とは
骨に圧縮ストレスがかかったり、かからなかったり~
牽引ストレスがかかったり、かからなかったり~
伸張ストレスがかかったり、かからなかったり~
ということです。
何だか難しそうですが、これ単に「身体を適度に動かす」ことでかかるストレスです。
「身体を使って遊ぶ」と普通に力学的ストレスが間欠的にかかります。

骨は力学的ストレスの中でも「圧縮ストレス=押し潰される力」に対応して縦方向に成長していきます。
「押し潰されても負けない!」と圧縮ストレスに対抗して骨を伸ばしていく、と言うとイメージしやすいですね。
子供の時期において骨は
ストレスがかかる方向を経験から学び
「なにくそ~だったらこの方向に骨組織を作って対抗しよう!そしたら強いフレームができるのでは?」
そんな感じで力学的ストレスと対話しながら成長していきます。
つまり、骨には適度な力学的ストレスが大事ということです。
3.脳性麻痺によって脚長差が生まれるメカニズム
骨の成長には力学的ストレスが必要ということが分かったところで、
脳性麻痺によって脚長差が生まれるメカニズムについて考えてみます。
骨を作っていく子供時代、麻痺によって十分に立てない・歩けないという状態は
骨にかかる圧縮ストレスが少なくなることを意味します。
骨は対抗する相手がいないので
対抗する方向に骨を作らなくても良い、ということになりますね。
麻痺の有無に関わらず、力学的ストレスが骨に適度にかからない場合、骨の成長には影響を与えます。
(だから子供はゲームばっかりさせないで外でたくさん遊んだ方が良いっ!)
そして大抵、脳性麻痺では麻痺に左右差が少なからずあるため
立ち方や歩き方にも左右の偏りがあり、脚の成長に左右差を生じる可能性があります。
これが子供時代の脚の麻痺によって脚長差が生じるメカニズムです。
ただ・・・わたくし小児病院での勤務経験がないので、脳性麻痺のお子様の脚長をしっかり測ったことがないんんですね汗。(説得力なくてごめんなさい。)
脳性麻痺を持っておられる大人の患者さんを担当したことはあるので、その中でも印象的だった症例を一人紹介したいと思います。
私がリハビリ病院に勤めていたときに担当した40代くらいの女性です。
家の中は這って移動で基本的に歩かない方でした。
平行棒でなら歩けるレベルでしたが、子供の頃からほぼほぼ歩かなかったとのこと。
その理由は、どこに行くにもおじいちゃんがおんぶしてくれたから。
相当可愛がってもらったとのことでした(´-`*)
そんなこんなで、子供の頃は歩く機会がほぼほぼなかった彼女ですが
彼女の脚の骨、とーーーても小さかったです。
特に踵の骨なんて「華奢」とはこのこと、という感じで。
あー、体重乗せてこなかったんだねー、と骨が物語っていました。
彼女も脚の麻痺には左右差があり
脚の長さには結構な左右差があったように記憶しています。
(立つと短い方が浮いちゃうくらい。)
しかし基本的に歩かない生活スタイルだったので、脚長差に関しては特に悩まなかったケースと記憶しています。
荷重の少なさが骨成長をとどめる・適度な荷重が骨成長を促す、というのを学ばせてもらった症例でした。
4.まとめ
・子供時代の適度な骨へのストレス、それが骨を成長させるスパイスだ
・生まれながらに麻痺があると、脚への荷重が左右不均衡になりやすい
・脚への荷重の左右不均衡は脚長差を生む可能性がある
同じ内容を動画でも解説しています → YouTube
本日は以上になります。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が誰かの身体のトラブルの解決の糸口となりますように。
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