ケーススタディ:脚長差によって仙腸関節痛を呈したR様

東京を中心にパーソナルトレーナー・理学療法士として活動しています、村田育子です。


現在「脚長差(脚の長さの左右差)」についてシリーズで解説中(シリーズ目次)。


前回は「脚長差で仙腸関節が痛くなるのか?」というテーマでお話しました。

(仙腸関節って何?という方は前回記事から読んで頂ければと思います。)


本日はそれを踏まえ、脚長差で仙腸関節痛を生じたクライアントR様をケーススタディとして報告します。


脚の長さに左右違うかも、仙腸関節が痛い、ゴリゴリ鳴る・・・そんなお悩みをお持ちの方にぜひ読んで頂きたい内容です。


加えて個人的には、仙腸関節に苦手意識がある経験が浅いセラピストさんにも読んで頂きたい内容です。


セラピストからしても「仙腸関節」って取っ付きにくい印象、ありませんかね?

(少なくとも私はそうでした汗。)


この記事では実際のクライアントさんの例を挙げていますので、そんなセラピストさんの仙腸関節痛の理解の助けになるのではと思います。




【目次】


1.R様は左の仙腸関節が痛かった


2.R様の姿勢を見てみよう


3.R様の歩行を見てみよう


4.R様への治療戦略


5.まとめ




1.R様は左の仙腸関節が痛かった

60代男性。


30代の頃からの左の仙腸関節が痛い。


約30年・・・経過、長いですね。


我慢できる程度の痛み。


常に痛い訳ではなく、時々痛む。


特に痛むのが、朝起きてすぐに身体を動かした時。



この「起床時に痛む」というのは大きなヒントですね。


筋肉がまだ寝ぼけて活性化していない時に動かすと痛い。


これは「不安定性」での痛みの特徴です。


つまり関節が「グラグラ」して痛くなっているということを示唆しています。





2.R様の姿勢を見てみよう

ではさっそくR様の姿勢を見てみます。


今回は仙腸関節痛についてなので骨盤にフォーカスします。



骨盤はどうなっているでしょうか?




はい。骨盤、服で見えませんよね笑!すみません!


骨盤はね、傾いてました。


左の方が高いです。

(これは明らかでしたので信じてください笑)



左の骨盤の方が高いと、左の仙腸関節が重力線に対し平行に近づきます。



これは左の仙腸関節を不安定にさせ痛くなるリスクを生みます。

(このメカニズムは前回記事を参照)





ではなぜR様の骨盤は傾いているか?


なぜ左の方が高いのか?




全身をチェックしていくと、原因は脚長差でした。


R様、左脚の方が長かった。


そりゃ、骨盤、傾きます。


辻褄、合ってますね。





3.R様の歩きを見てみよう

では次はR様の「歩行」を見ていきます。


歩るいている時、R様の左仙腸関節にどのようなストレスがかかっているでしょうか?



短い方の右脚の着地では重心が「ドシン」と落ちてますね。


これは比較的分かりやすいかと思います。



で、問題の左ですが、右よりちょっと難しいですよ。


左脚の着地では「クイッ」と左お尻が「斜め上に振れている」の、分かりますかね??


もともと脚長差で左骨盤の方が高い状態でしたが、


左脚の着地ではさらに勢い良く左が高くなります。


スローで見てみましょう。




右でドシン、左でクイッ。


ドシン・クイッ・ドシン・クイッ・・・。


この左脚着地のお尻の「クイッ」。


この「クイッ」という勢いある動き(揺れ)が左の仙腸関節をズラしてしまいそうなの、

何となくイメージできるのではないでしょか。


この「ズレ」というストレスは「剪断(せんだん)ストレス」と言います。


この剪断ストレスが左仙腸関節の痛みの原因という訳なんです。




4.R様への治療戦略

このお尻がクイッと振れる歩き方、修正するにはどうしたら良いと思いますか?




この問題を解決するには、まず右着地の「ドシン」を修正する必要があります。


左着地の「クイッ」は、右の「ドシン」の「結果」みたいなものですから。


となると、右のドシンの原因は右脚が短いからですよね。


すなわち脚長差が原因です。


となると、右脚を伸ばす必要がありますね。


R様の場合、右脚の骨自体の長さが短かくこれはもう伸ばすことはできません。


となると、ここで頼りになるのはインソールです。


右にシークレットブーツを忍ばせる作戦です。


ヒールパッドです。


これによって右着地の「ドシン」がなくなったら、


左の「クイッ」はある程度は自然に減るはずです。


(もちろん動作パターンの再学習などは必要になります。)




R様には2mmのヒールパッドがちょうど良かった。


こちらがその歩行。



お尻の揺れ方が均等になった感じ、分かりますでしょうか?


ご本人様も「こっちの方がバランスいいね」とのことでした。


(てゆーか2mmでこんだけ変わんの!?となった症例でした。)


R様にはこのヒールパッドを日常で使ってもらうこととなりました。




※専門用語で言うと左のトレンデレンになりますね。でもだからって左の中殿筋を鍛えるのはもうもうほんとーっにナンセンスです汗!!!

なぜ、トレンデレンになっているのか?

まずはその原因を潰す必要があります。

R様の場合は脚長差です。

左中殿筋を鍛えても、トレンデレンは治りません。

むしろR様、左の中殿筋は右より強いです。

だって左中殿筋にはこうやってずーっと遠心性負荷を加えてきた訳ですから汗。左は強くなります。

むしろ右の中殿筋に弱化が認められました。短縮弱化です。

中殿筋のみにフォーカスすれば、右中殿筋の遠心性収縮を荷重下で練習し、右立脚中期での骨盤左下制の運動パターンを落とし込んでいくことがR様には効果的となります。

(もちろんこの遠心性収縮のトレーニングの前に短縮トレーニングも必要です。)

さすれば、左のトレンデレンは軽減するでしょう。

自然と!!そう・・・勝手に!!!




現在のR様ですが、ヒールパッドを使いつつ色々とエクササイズもして、ここしばらくは左仙腸関節痛はなく経過しています(^^)


立位姿勢もこんな感じで変化\(^o^)/



骨盤・・・見えないですね笑 すみません汗

実は上半身の方が大きく変化していますがこれはまた機会があれば報告したいと思います(;・∀・)



5.まとめ

・R様は左仙腸関節が痛かった

・R様は左脚が長く左の骨盤が高かった

・それにより左仙腸関節に剪断ストレスがかかっていた

・歩行時には左お尻が斜め上にクイッと揺れていた

・それによって左仙腸関節にさらに剪断ストレスがかかっていた

・右へのヒールパッドで脚長差を補正した

・それによって左仙腸関節痛は改善した




本日は以上になります。


お読み頂きありがとうございました。


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ちなみにR様からは「お客様の声」を頂いています。


こちらのページの一番最後の方です。


本日は長い側の仙腸関節にフォーカスしてお話しましたが、実は短い側が痛くなるケースもあります。


次回はそんな短い側の仙腸関節にはどのようなストレスがかかるのかをお話してみます。次回もお楽しみに!


この記事があなたの身体を少しでも改善するヒントとなりますように!



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