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症例報告 ~腰椎の前後へのズレ~


このブログでは


理学療法士で


かつパーソナルトレーナーでもある私の視点から


「姿勢改善」や「痛み改善・予防」


に向けてのお話をしています。



「ボディメイク」も得意で


東京をメインに活動しています、村田育子です(^^)/





本日は


「腰椎(ようつい)の前後へのズレ」について


症例S様を通してお話してみたいと思います。


(YouTubeでも同じ内容をアップしています。動画の方が良いなという方は こちら をどうぞ^^)



今回の記事は


・腰痛にお悩みの方


・腰が丸くなっている気がする方


・腰椎すべり症と言われたことがある方


に是非読んで頂きたい内容です。


※本日の症例は前回(インソール)、前々回(腰痛)、前々々回(肩こり)の記事と同じ方です。




【目次】


1. S様の腰椎の前後のズレ



3. S様の腰椎へのアプローチ



5. もし今予防していなかったら?S様の予後予測






1. S様の腰椎の前後のズレ

S様の腰椎(ようつい)の説明の前に


まずはそもそも「腰椎とは何ぞや」について


簡単に説明したいと思います。



腰椎は5個あって(たまに6個のこともある)


下からL5、4、3、2、1と積み上がっています。

理学療法士のいるジム(東京)パーソナルトレーニングで予防とボディメイク

腰の骨を指先でなぞると、


通常、穏やかに前カーブしています。



ここでさっそく


S様の腰椎を見ていきます。


S様の腰をなぞってみると


穏やかな前カーブはなく、


ガタガタしている部分があるではないですか。。。


細かく言うと


・L3とL4が


・後ろに


・飛び出していました↓

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難しい言葉で言うと


「L4の後方滑り」「L2の前方滑り」


となります。


(レントゲンで確認していないので、あくまでも予想ですが。)


S様の場合、L2のよりもL4のズレの方がが目立っていたので


本日はL4の後方へのズレについてのみ


フォーカスしてお話していきたいと思います。

本来「滑り症」と診断がつくものは基本的には前方滑りで(しかも多くがL4前方滑り)、今回のS様は良くあるパターンとは逆ですが、これはこれで。前方滑りのケースについてはまた別の機会にお話したいと思います。(前方滑りの方が深刻なことが多いのでじっくり話したいのですー。)




2. S様の腰椎がズレた原因は?

S様の腰椎が後ろにズレた原因を探るために


まず全体として姿勢の前後のズレを見てみます。

(横から見た姿勢をチェックします。)


S様、明らかに胸を前にバーンと突き出しており


かなりの「前重心」でした。

理学療法士のいるジム(東京)パーソナルトレーニングで予防とボディメイク

この時点で


L3とL4は代償的に後方にズレてるのかも…


という予想が頭をよぎります。



それを確かめるために


この前重心の姿勢のままで


後ろに飛び出たL3とL4を


手で軽く前に押し込んでみました。


・・・びくともしませんでした。



次にこの「前に突き出した胸」を


「後ろに修正」してその状態で


後ろに飛び出たL3とL4を前に押し込んでみました。


・・・なんと。


少し動くではないですか。




さて、この現象は何を意味しているでしょうか?



これは


「胸を前に突き出した姿勢のせいで


L3とL4を後ろに飛び出させて


背骨配列のバランスをとっている可能性がある」


ということを意味します。

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言い換えると


胸を前に突き出す

   ↓

前にバランスが崩れる

   ↓

L3とL4を後ろにズラす

   ↓

バランスが取れる!


という戦略をとっていることが予想されます。



・胸は前へ(赤いベクトル)


・腰は後ろへ(青いベクトル)


という「逆のベクトルで力を相殺して安定を得ている」ということです。





つまりL3とL4が後ろにズレた原因は


「L3とL4それ自体」ではなく


「バーンと胸を前に突き出す癖」にある


と言えます。





3. S様の腰椎へのアプローチ

では、後ろにズレたL3とL4はどうやったら修正できるでしょうか?


L3とL4に直接アプローチすれば良いでしょうか?


違いますよね。


原因は「胸をバーンと前に突き出す癖」にあったので、


アプロ―チの第一選択は「胸」になります。


「胸を前に突き出した姿勢」


をまずは修正する必要があります。



「胸の位置を修正すると自然と腰は修正されるかも」


とまずは期待してアプローチするのがベターだと思います。



というか胸の位置を修正しないままL3とL4を直に修正するのはむしろ危ないです。


L2がもっと前にズレたりするかもしれません…。


腰は第一選択にすべきではありません。




ということで、


S様には


①胸を前に突き出さない意識


②胸(胸郭)の柔軟性を高めるエクササイズ


を行ってもらいました。


加えて、左右の脚の長さが違ったので


③インソール(ヒールパッド)


を使ってもらいました。(前々回記事参照)



しばらくはこれで


あくまでも腰には直接的なアプローチはせず経過を見ました。





5. S様のその後の経過

半年後くらいの3回目のセッションでは


L3とL4のズレが少し改善しておりました!


もちろん完璧ではないですが改善はしていました。



腰の筋トレも、徒手的な操作も行っていません。


やはりこのような例では「腰を第一選択にするべきではない」


と再確認させてもらった症例でした。



そして腰椎の前方滑りは諦めなきゃいけない部分もありますが、


「後ろへのズレは多少改善が望めること」


を学んだ症例でもありました。





6. もし予防していなかったら?S様の予後予測

S様がもし何も運動をせずに


L3とL4が後ろにズレたままでいると仮定します。

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S様は現在50代。


S様が80歳になる頃


S様の腰はどうなっているでしょうか?



ご高齢の患者さんをたくさん見てきた経験から


80歳のS様の未来予測をしてみます!



まずL4はさらに後ろにズレるでしょう。


そしてL4は常に潰されるストレスにさらされているので


圧迫骨折する可能性が高いです↓

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そうこうしているうちにL3も圧迫骨折してくるでしょう。


L4とL3はそれ自体が後ろにズレていますが、


後ろには何があると思いますか?


そうです「神経」です。


「腰の神経を圧迫」します。


腰の神経を圧迫すると何が起こると思いますか?


そうです、ビリビリです、「神経痛」です。


「感覚も鈍くなる」可能性もあります。


下手すると足先の「筋肉がマヒ」します。


転倒しやすくなるどころか


一人で歩くのが難しくなる可能性もあります。


整形外科に受診すると


ドクターからは何と言われるでしょうか?


「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)ですね」


「手術しますか?」


とか言われるかもしれません。



そしてこの段階では


私がお助けできることにも限界が出てきます。


神経を圧迫している組織それ自体は


外科的な処置でなければ解決できないからです。


もっと悪化しないように、とか


姿勢を改善させる、というのは


never too lateでいつでもお助けできますが、


「神経症状を無くす」こと自体に関しては


正直、どうしようもできないことがあります。




少し脅しっぽくなりましたが、リアルです(+o+)


つまり何を言いたいかと言うと


「予防しておいた方が良い!」


ということを言いたいのですー!





6. まとめ

・S様のL3とL4は後方にズレていた

・その原因は胸を前に突き出した姿勢にあった

・姿勢修正の意識と胸郭のストレッチを行った

・脚長差に対してのヒールパッドも処方した

・腰は直接いじっていないが腰椎のズレは改善した

・S様が脊柱管狭窄症になるリスクを少しは減らすことができたのではないかと思いたい~!!




本日は以上です。

お読みいただき、ありがとうございました。

この記事が誰かの健康の一助となりますように☆








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