【筋肉/関節のトラブルに対する解決・予防の考え方をブログとYouTubeで発信しています】
こんにちは。理学療法士/パーソナルトレーナーの村田育子です。
本日は前回の記事「S様の腰痛 ①」の続きです。
「肩こりでお悩みのS様」→「S様の腰痛 ①」を読んで頂くとより理解しやすいです。
今日の記事は「腰痛」特に「片側の腰痛」にお悩みの方に参考になると思います。
目次
1、圧縮ストレスで腰が痛くなるメカニズム
前回お伝えした通りS様の腰は右に曲がっていましたが、実はそんなに痛くなかった。
心配しているのは私ばかりで、当の本人は「腰は大丈夫ですけど何か?」という具合。
ではなぜS様はあまり腰に痛みを感じていなかったのでしょうか?
それを理解するには、腰が「圧縮ストレスで痛くなるメカニズム」をもう少し深堀りして理解する必要があります。
というのも、実は初回セッションの後(2ヶ月後くらい)に事件は起きまして、
S様、右の腰が痛くなってしまったんですね。
S様の右側の腰は「詰まっている」=「圧縮ストレス側」なので、
今回は「圧縮ストレスで腰が痛くなるメカニズム」について深堀りしていきます。
(伸張ストレスについてはまた別のお客様で~!)
前回の「S様の腰痛 ①」の繰り返しになりますが、
腰は柔軟がゆえに他の部位の歪みに「対応」してストレスを受けやすい、
緩衝材的な立場にあると言えます。
「ぐにゃっ」と腰を左右どちらかに歪ませることによって、
他の部位の歪みを補正してくれることが多いです。
これだけでももちろん「ぐにゃっ」となった側に「圧縮ストレス」がかかりますが、
もともと腰には、
・上半身の重み
・脚からの反力
この2つの「力」がかかっています。
これもまさに「圧縮ストレス」です。
もしS様がこのように上半身が右にズレて歪んでいたら、右腰は曲がった状態でさらにダイレクトに「圧縮ストレス」がかかります(赤の矢印)。

・右にズレた上半身が右腰を上から下へつぶすベクトル
そしてそれに対して
・右骨盤が右腰を下から上に突き上げるベクトル
腰は2つのベクトルにサンドイッチされます。
しかも右に曲がった状態で。
もともと腰は上と下から圧縮ストレスにさらされる場所であり、
さらに圧がかかる側に腰がひん曲がっていたら・・・
「そりゃぁ圧が集中して痛くなるよw」ということは一目瞭然です。
腰は部下(骨盤)と上司(胸郭)に挟まれた、いわば中間管理職的なポジションです。中途半端な態度でいたら、毎日残業です。残業したくないのなら「残業、反対だぜ!!」そんな断固とした態度でいる必要があるように、腰も「真っすぐでどんなストレスにも負けない!!」そんな芯を持った態度でいることが重要です。
2、S様の腰はなぜあまり痛くなかったのか?
腰にかかる「圧縮ストレス」について理解できたところでS様の腰を見てみましょう。
S様は仕事の動きが原因で上半身が大きく左にズレ、左に重心がかたよる癖がありました。
その歪みはかなり強めで、慢性的な左の肩こりに悩まされる程でした。

ここでもうにお分かりになった方もいるのでは。
確かにS様の腰は右曲がりで、
腰の右側に「圧縮ストレス」がかかりやすい「骨の配列」ではあるものの、
上半身が左にあるため、上から押しつぶされるベクトルは右腰にはかかっておらず(緑矢印)、
また同時に左重心のため、右脚からの下から突き上げるベクトルも右腰にはダイレクトにはかからない(青矢印)。

つまり、右腰には上からも下からも、ダイレクトには力はあまりかかっていないということ。
だからそこまで痛くなかったんですね。
3、事件です!エクササイズで右の腰痛が勃発!
そして事件は起きました。
初回のセッションから2ヶ月後くらいでしょうか。
「最近右の腰が痛い。」
・・・(;゚Д゚)
4、右の腰痛が出現した理由
ここで改めてS様のお身体の問題点をまとめます。
S様のお身体には問題は1つではなく2つありました。
1. 上半身の左へのズレ(仕事の癖:詳しくはこちらの記事)
2. 骨盤の左への傾き(左脚が短い:詳しくはこちらの記事)
この2つの問題が絡み合っている状態でした。
なので、
1. 上半身のズレ → エクササイズで修正
2. 骨盤の傾き → インソールで脚の長さを調整
というように2つの問題点を同時に解決する必要がありました。
しかし・・・
S様の姿勢を見ると 問題点1の方が断然大きかったんですね。
つまり、骨盤の歪みよりも上半身の歪みの方がめちゃめちゃ強かったんです。
骨盤の歪み < 上半身の歪み
加えてですね、この初回セッションの日、私インソールの材料を持ってなかったんです涙。
(言い訳になりますが急遽飛び入りで入ったお客様だったので・・・)
なので 1.上半身のズレ → 2.骨盤の傾き
という具合で、大きな問題から順番につぶしていこうではないか!!と判断した訳なんです。
そんなこんなで、初回セッションでS様にお伝えした自主トレはこちら。
★左にズレた上半身を右方向へ戻すエクササイズ
★上半身を右方向に戻して右脚に体重が乗る感覚を練習
問題点1の上半身に対してだけのアプローチです。
もちのろんですがS様には右の腰が痛くなるリスクも説明し、2回目のセッションまではあまりストイックにやらなくて良いとお伝えしました。
そして問題点2に対してもアプローチするために、2回目のセッションを確約してもらいました。
そんなこんなで2ヶ月くらい経ったある日。
左の肩コリは少しずつ改善すると同時に右腰が痛くなっているという報告が(+o+)

上半身の歪みが修正されてきた結果、右にも体重が乗るようになり、
右足から右腰への突き上げの力が強くなったのでしょう。
骨盤は傾いたままですからね・・・。
判断が甘かったかなぁ・・・と考えさせられた症例でしたね。
(というか2回目のセッションまでの期間が長かった汗、というか新規で飛び入りだとインソール持ってない!)
5、腰痛への対処方法
ということで、2回目のセッションではインソールの材料を抱えてきました汗。
インソールで物理的に(というか人工的に)脚の長さを調整し、
現在は腰の痛みは改善傾向にあります。
本来なら2つの問題点に同時にアプローチすべきでしたが、
たまたま1つにだけアプローチした結果、予想通りの反応が出てしまい
「身体はこんなにも正直なのか」と私自身、驚いた症例でもあります。
「メカニカルストレス」やはりはいかに「論理的に」「客観的に」推論することが大事かということを再確認させてくれた症例でしたね。
次回は、そんなS様が「インソールを使用することでどう変化したか」を解説していきたいと思います。
お楽しみにっ(^^)/
6、まとめ
・腰は下と上からサンドイッチされるように圧縮ストレスにさらされる場所である
・S様の腰は右曲がりだったが、左重心の癖なので右にはさほど圧縮ストレスはなかった
・しかし左の肩コリ改善のために上半身の左ズレを修正するエクササイズを行った結果、右腰が痛くなってしまった
・右腰の痛みを出さないよう、本来ならインソールで骨盤の傾きも同時に修正すべきだったという反省
・2回目のセッションでインソールで骨盤を調整し、とりあえず腰痛は改善傾向
・メカニカルストレスは理論的に推論することが大事だと再確認させてくれた症例だった
お読みいただき、ありがとうございました。
YouTubeでも解説しています(前回の記事の内容も含めて) → YouTube
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